タイ住宅市場、中古物件の売り出し急増 在庫は年末に61万戸超の見通し
バンコクポストの記事と私見を交えて下記にご案内いたします。
タイでは中古住宅の売り出しが急増しており、2026年末までに全国の住宅在庫が61万戸を超えると予測されています。
一方、消費者の購買力は依然として弱く、住宅需要の回復は限定的です。
カシコン銀行傘下の調査機関Kasikorn Research Center(K-Research)によると、タイの住宅市場では需要と供給の不均衡が続いており、住宅購入の回復が鈍い中で在庫が積み上がっています。
2026年第1四半期のタイ全国の住宅在庫は59万戸に達し、前年同期比7.2%増加しました。
その主な要因となっているのが、中古住宅の売り出し件数の急増です。
中古住宅の売り出しが34.2%増加
中古住宅の売り出し件数は前年同期比34.2%増の24万戸となりました。
個人の不動産所有者に加え、金融機関や資産管理会社(AMC)が保有不動産の売却を加速させていることが背景にあります。
一方、デベロッパーが抱える新築住宅の未販売在庫は、前年同期比6%減の約35万戸となりました。
市場環境が低迷する中、デベロッパーが新規プロジェクトの供給を抑制しているためです。
K-Researchによると、新築住宅の在庫は若干減少したものの、依然として高い水準にあります。
デベロッパー各社は新たな住宅供給を拡大するよりも、現在抱えている在庫の販売を優先する慎重な姿勢を取っています。
住宅在庫は年間の平均所有権移転件数の約2倍
現在積み上がっている住宅在庫は、タイ全国の年間平均住宅所有権移転件数の約2倍に達しています。
この大量の在庫によって、住宅市場における販売競争はさらに激しくなっています。
供給過剰が拡大したことで、住宅購入者側の価格交渉力は強まる一方、デベロッパーにとっては販売戦略、価格設定、さらには業績面でのプレッシャーが強まっています。
バンコク首都圏だけで31万戸以上の在庫
タイ全国の売れ残り住宅のうち、52%がバンコク首都圏に集中しています。
その数は31万戸以上に相当します。
また、主要な経済・観光都市であるチョンブリー、プーケット、チェンマイでも、新築・中古の双方で住宅在庫が増加しています。
特に在庫が多いのが、300万バーツ未満の住宅です。
この価格帯は住宅在庫全体の60%以上を占め、その数は約35万5,000戸に達しています。
これは、一般消費者向けのマスマーケット住宅において、依然として深刻な供給過剰が続いていることを示しています。
1,000万バーツ超の高価格帯住宅も在庫が48%急増
一方、在庫の増加率が最も高かったのは1,000万バーツを超える住宅でした。
この価格帯の在庫は前年同期比48%増加し、4万6,000戸に達しています。
ただし、この増加の中心となっているのは新規開発物件ではなく中古住宅です。
K-Researchは、富裕層の不動産所有者がこれまで保有していた物件を市場に売り出すケースが増えていることが背景にあると分析しています。
この動きは、低価格帯での激しい競争を避けるため、近年高級住宅市場へとシフトしてきたデベロッパーにとって、新たな課題となる可能性があります。
高級中古住宅の供給が急速に増えれば、これまで比較的底堅いと考えられていた高価格帯の住宅市場でも、販売競争が激しくなる可能性があります。
2026年末には住宅在庫61万戸超へ
K-Researchは、2026年のタイ全国の住宅在庫について、前年比4.5%増加し、61万戸を超えると予測しています。
中古住宅の売り出しが引き続き増加する一方、デベロッパーによる新規プロジェクトの供給は低水準で推移するとみられています。
タイ政府は住宅市場を支援するため、700万バーツ以下の住宅を対象とした所有権移転手数料および住宅ローン抵当権設定手数料の軽減措置を延長しました。
しかし、この政策だけでは、消費者心理の低迷や脆弱な購買力を完全に補うことは難しいとみられています。
2026年の住宅所有権移転件数は2.1%増の予測
2026年1~4月のタイ全国の住宅所有権移転件数は、前年同期比13.4%増加しました。
しかしK-Researchは、2026年通年では前年比2.1%増にとどまると予測しています。
これは、年後半に住宅市場の勢いが弱まると予想されているためです。
タイ住宅市場は「買い手優位」へ
住宅在庫が増加する一方で需要の回復が追いついていないことから、タイの住宅市場は今後、これまで以上に買い手に有利な市場へ移行する可能性があります。
住宅購入者にとっては選択できる物件数が増え、価格や条件について交渉できる余地も広がることが予想されます。
一方、デベロッパー側は、現在の過剰在庫が徐々に市場で消化されるまで、新規プロジェクトへの投資について慎重な姿勢を維持するとみられています。
今後のタイ住宅市場では、新築物件同士の競争だけではなく、急増する中古住宅との価格・立地・物件条件を含めた競争がさらに重要になっていくと考えられます。
→オーナーが売り出している中古物件とデベロッパーが在庫として抱える販売在庫が今後両方とも増加することが予測されているようです。
中々売れないのは郊外にあるものが多いかと思いますが私の場合は郊外であっても価格さえ釣り合えば購入しても良いと考えており、実際に購入しております。
郊外でも駅や商業施設があり利便性とリーズナブルが合わされば賃貸需要は高いです。
低価格物件は賃料設定も1万バーツ前後、または以下となり入居対象者が多いので空室期間が少ないです。利回り6%以上が取れる物件であれば5年運用すれば損失リスクはほぼ無くなります。
今までは郊外であっても物件価格があまり落ちてこなかったですが、大きく値引きされた掘出し物件の数が今後増えてくるかもしれません。
