2025年のEEC住宅市場は軟調

バンコクポストの記事「EEC market weakens as condos tumble」 を和訳したものにコメント(青字)を付けたものを下記にご案内します。

コンドミニアムの落ち込みが市場全体を押し下げ

不動産情報センター(REIC)によると、東部経済回廊(EEC)の住宅市場は2025年も軟調に推移し、需要・供給ともに前年比で縮小しました。

2025年第4四半期の住宅所有権移転件数は13,090戸、総額308億バーツとなり、前年同期比で

  • 件数が2.1%減
  • 金額が7.8%減

となりました。

通年では、住宅移転件数は45,958戸4.4%減、総額は1,110億バーツ7.4%減となっています。

タイのEEC(東部経済回廊)とは、タイ政府が国の産業高度化とハイテク産業の誘致を目指して主導する国家級の経済開発計画(経済特区)です
対象エリアはチョンブリー県、ラヨーン県、チャチュンサオ県となります。

低層住宅が市場を下支え、コンドミニアムはより厳しい状況

市場全体では、低層住宅(戸建て・タウンハウスなど)が移転の中心を占めました。
一方で、コンドミニアムの移転はより大きく減少し、とくに金額ベースでの落ち込みが目立ちました。

ただし、前期比で見ると市場には一部持ち直しの動きも見られました。
その背景には、政府による景気刺激策、具体的には以下の施策があります。

  • 所有権移転手数料と住宅ローン設定手数料を0.01%に引き下げ
  • LTV(融資比率)規制の緩和

しかしREICによると、こうした措置があっても、経済の先行き不透明感から買い手は慎重姿勢を崩しておらず、需要は依然として弱い状態が続いています。

タイは首都バンコクとそれ以外の県では住宅事情が全く異なります。バンコクには多くの高層建築物がありますがバンコクの隣のサムットプラカン、ノンタブリー県となるとその数はガクッと下がり他はパタヤにある程度です。

日本では各県や地方都市にも多くのタワーマンションがありますがタイではバンコク、サムットプラカン、ノンタブリー、チョンブリー県のパタヤやシラチャなど一部のエリア以外を除いてはコンドミニアム(マンション)を作っても売れないのは当然です。駅、商業施設、オフィス、歓楽街が合わさらないと価値ある限られた土地が生まれてこないので現段階ではコンドミニアムは不要です。

ラヨーン県のみ成長

EECエリアの中で、ラヨーン県だけが成長を記録しました。

  • 移転件数:4.8%増
  • 移転金額:3.9%増

この背景には、工業拡大や雇用増加に伴う住宅需要があるとみられています。


新規供給も大きく減少

デベロッパーは慎重姿勢を強める

需要低迷を受け、供給側も大きく縮小しました。

2025年の新規土地分譲許可は、

  • 118プロジェクト
  • 9,134戸

となり、前年から

  • プロジェクト数で22.4%減
  • 戸数で27.5%減

となりました。

住宅タイプ別では、

  • タウンハウスが49.8%で最大シェア
  • 次いで戸建て
  • セミデタッチドハウス

となっており、引き続き低層住宅重視の傾向が鮮明です。

新規供給戸数が最も多かったのはラヨーン県で、全体の半数超を占めました。
その後にチョンブリー県チャチューンサオ県が続いています。

また、第4四半期の土地分譲許可は前年同期比で、

  • プロジェクト数が8.8%減
  • 戸数が6.2%減

でした。


建築許可は明暗が分かれる

低層住宅は微増、コンドミニアムは減少

建築許可の動きはややまだら模様でした。

2025年第4四半期の建築許可戸数は8,664戸で、前年同期比1.7%増でした。
この増加は、低層住宅が9.3%増加したことによるものです。

一方で、コンドミニアムの建築許可は12.7%減少しており、この分野の需要の弱さが引き続き表れています。

通年では、建築許可総数は26,377戸となり、前年から25%減少しました。
内訳は以下の通りです。

  • 低層住宅:22.6%減
  • コンドミニアム:35.9%減

建築市場としては、引き続きチョンブリー県が最大で、次いでラヨーン県チャチューンサオ県が続きました。
許可の多くは戸建て住宅に集中しています。


現場の声

需要には地域差、工業団地の雇用減が影響

タイ証券取引所上場のEastern Star Real Estateのマネージングディレクター、パイロート・ワタナワロドム氏は、東部地域の住宅需要は依然として地域ごとの差が大きいと述べています。特に、ラヨーン県とチョンブリー県でその傾向が見られるとのことです。

同氏によると、マプタプットでは引き続き、

  • 医師
  • 軍関係者
  • 航空関連従事者

といった専門職層からの需要があります。

その一方で、ラヨーン県の工業団地では、一部の大手石油化学会社や建材メーカーが人員削減や解雇を進めており、工場労働者層の住宅需要は弱まり始めているといいます。


今後の見通し

当面は厳しい状況が続く可能性

パイロート氏は、EEC住宅市場について今後もしばらくは厳しい圧力が続くとみています。
主な要因は、

  • 経済の不透明感
  • 購買力の低下

です。

このため、デベロッパー各社は新規プロジェクトの立ち上げを抑え、市場環境に合わせてより低価格帯の商品へ注力する動きを強めています。

政府の景気刺激策は短期的な下支えにはなっているものの、需要を持続的に回復させるには至っていない状況です。

同氏は、今後もしばらくは
「低層住宅は比較的底堅い一方、コンドミニアムは弱い」
という構図が続く可能性が高いと指摘しています。

その背景には、

  • 購入者の嗜好の変化
  • 価格負担能力の制約

があるとしています。


まとめ

EEC市場は調整局面が継続

現在のEEC住宅市場は、**デベロッパーも購入者も様子見姿勢を続ける「調整局面」**にあります。

  • 低層住宅は比較的底堅い
  • コンドミニアムは弱含み
  • 新規供給も縮小
  • 建築許可も全体では減少
  • ラヨーン県のみが比較的健闘

というのが2025年の特徴です。

今後も、EECエリアで不動産市場を見る際には、地域差住宅タイプごとの需要の違いを意識することが重要になりそうです。

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