バーツ高・円安が続く中でのタイ不動産市況(2025年総括)

1バーツ=5円を超え、2025年12月26日は1バーツ=5.04円となっております。

タイ政府もバーツ高に対して警鐘を鳴らし、何らかの対策を講じるとの報道もあり、一時はバーツ高も落ち着くかと思われました。しかし現状では、バーツ高・円安の進行は依然として止まっていません

2025年を振り返ると、タイのコンドミニアム売買市況は引き続き流動性の低い状況が続いています。
2017年、2018年の活況期と比較すると、その差は明らかで、コロナ禍を経た後も本格的な回復には至っていない印象です。むしろ、体感としてはコロナ禍の方が売買が成立していたと感じる場面も少なくありません。

この傾向は、2026年も大きく変わらない可能性が高いと考えています。

以前ではこの価格であれば反響があり売れるであろうといった価格で販売していても、あまり反響が得られません。

100万バーツ台の物件は比較的動くのですが1,000万バーツ前後の物件は立地が良く、㎡単価でみればかなりお得な価格であっても動きが思わしくありません。

1,000万バーツ前後の物件を購入することができる比較的富裕層の投資家が不動産投資を敬遠しているのか、郊外のリーズナブルな物件にトレンドが移行しているのか分かりかねるのですが、5年前であれば直ぐに売れていたと思われる価格帯のバンコク中心部のリセール物件が増えてきたと思います。


家計債務とローン審査の厳格化

タイ経済が抱える大きな問題の一つに、家計債務の高さがあります。
住宅ローンについては却下されるケースが増えており、以前と比べて審査基準が明らかに厳格化しています。

その影響もあり、若年層のタイ人の住宅ニーズは、
「購入」から「賃貸」へと徐々にシフトしている可能性があります。

また、住宅ローンだけでなくオートローン(自動車ローン)も通りにくい状況が続いており、車の販売も伸び悩んでいるようです。

一部報道では、家計債務を軽減・帳消しにする徳政令の可能性も取り沙汰されています。
仮にそのような政策が実行されれば、住宅や車の販売は一気に回復すると思われますが、現実的には実行される可能性は低いと見ています。


バーツ高・円安がもたらす「売却の好機」

売買市況が低迷する一方で、バーツ高・円安は継続しています。

約10年前は、1バーツ=3円前後の水準でした。
当時、1,000万バーツのコンドミニアムを約3,000万円で購入された方が、現在同額(1,000万バーツ)で売却し、日本円に両替すると、約5,000万円になります。

現在は価格を抑えないと反響が出にくい市況ではありますが、仮に800万バーツで売却したとしても、日本円ベースでは約1,000万円の利益が出る計算になります。

そのため、日本円で購入された方にとっては、多少価格を下げてでも円安のうちに売却するという判断も、一つの有効な選択肢と言えるでしょう。

将来の為替動向は誰にも分かりませんが、1バーツ=5円を超える水準が長期間続くとは考えにくいと個人的には見ています。


日本人購入者の傾向と外貨保有の強み

最近の日本人購入者を見ると、日本円以外の通貨を保有している方が増えています
円でバーツ建て資産を購入すると割高になるため、USDや他通貨で決済されるケースが目立ちます。

外貨を保有していることが、現在の市況では明確なメリットとして生かされています。


新築供給の減少と中古物件の将来性

現在、新築コンドミニアムの建設は大幅に減少しています。
バンコク都心部では、全戸1億円超となる超高級レジデンスが数件竣工予定である一方、一般的な価格帯の新築物件は、都心から10km、20km離れた郊外エリアが中心です。

新築供給が抑制され、なおかつ新築価格は上昇傾向にあることから、
今後5年程度で、駅近など立地条件の良い中古コンドミニアムは、現在よりも売却しやすくなるのではないかと考えています。


年末のご挨拶

2025年も残すところ、あと約1週間となりました。
弊社は 2025年12月25日から2026年1月3日まで、年末年始休業とさせていただきます。

最後になりましたが、
物件管理をお任せいただいているオーナー様をはじめ、本年も多くの皆様にご厚情を賜り、誠にありがとうございました。

2026年も引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
皆様、良いお年をお迎えください。

Please follow and like us:

Follow me!