タイ不動産業界に迫る価格競争の波

コロナ禍明けても尚2025年となってもタイの不動産市場は明らかに減速傾向を示しています。この停滞が今後、価格競争を引き起こす可能性が高まっているという警鐘が鳴らされています。

バンコクポストの記事と持論を少し加えてご紹介します。

バンコクポスト記事より

CIMBTエコノミストが警告する「不動産市場の価格競争」

CIMBタイ銀行(CIMBT)のチーフエコノミスト、アモンテップ・チャウラ氏は、不動産市場の現状についてこう語ります。

「昨年、自動車業界で起こったような深刻な価格競争が、不動産市場でも再来する可能性がある。」

新築・中古を問わず、住宅販売は全体的に低調です。特に中古住宅市場では、低層・高層いずれも販売減が続いており、それが価格の下落と競争激化を招いています。

不動産は自動車よりも一件当たりの取引額が大きいため、価格競争が始まった場合の市場への影響はより深刻になりかねないとの懸念が示されました。

→今まで価格競争が起こらず不動産は買ったら価格が上がるのは当たり前と考えられていた風潮が強いと思います。2018年に新築コンドミニアムの販売数、供給数のピークを迎えそこからは供給過剰状態と言えます。
移転登記手続きで土地局を訪れた際、未だに土地局職員に「購入した金額より低い金額で売却することになるが問題ありませんか?」と売主に尋ねるケースがありますが、買った価格より低い金額でどうして売るのかと不思議がるタイ人もある程度います。

割安な中古物件を除いてデベロッパーから近年の新築コンドミニアムを購入する際は今後売却時に値下がりしてしまうケースは間違いなく増えます。

新築物件購入後は保有期間中にどれだけ賃貸で回すか、購入時の為替レート (外国人が購入する際はドルや円などタイバーツ以外の通貨で購入する必要があるため)と売却時の為替レートの差異で勝負することに懸ける必要が出てきます。

家計債務と融資減少の影響

現在、タイの家計債務はやや改善傾向にあります。中央銀行のデータによると、**2025年第1四半期の家計債務は16兆3500億バーツGDP比87.4%**と、前四半期の16兆4200億バーツ88.4%から若干低下しました。

この背景には、「新規融資の伸び悩み」があります。つまり、家計の借入が減ったことで債務比率は下がったものの、同時に経済の流動性も縮小し、成長の足かせになっているのです。

加えて、政策金利の引き下げにもかかわらず、銀行からの融資は依然として伸びておらず、その要因としては「経済の鈍化」と「規制強化」が挙げられています。

→タイの国民性として消費欲、購入欲が高いことで経済が回る部分はありますが不良債権が増える問題もあります。弊社で2025年に仲介をしたタイ人買主は住宅ローンが否決されたことはほとんどありませんでした。ある程度事前に与信に自信のある方が購入検討をしお問合せいただいているのだと思われます。

タイ経済はさらに減速、2026年半ばまで停滞の見込み

CIMBTは、2025年後半以降のタイ経済はさらなる減速局面に入ると予測しています。
特に、2025年Q4から2026年Q1にかけては実質的に経済成長が停滞する可能性が高く、本格的な回復は2026年後半以降になる見通しです。

→タイ経済は観光収入が大きく影響していると聞きますが、確かに観光客は減っているような気がします。昔は大型バス複数台で中国人観光客が来ておりましたが最近はそのような光景を見ることがありません。
バンコクがZ世代に最も人気の都市として選ばれた。という記事にもあるようにバンコクは渋滞と空気が汚いことを除けば世界的にも住みやすい都市だと思います。
Z世代の外国人就労者、ノマドワーカーによる長期滞在、外国企業への規制緩和をもっと積極的に行うことが必要だと思います。

不動産価格は上昇しているが…在庫増で売れ残りリスクも

一方で、不動産価格の指標そのものは上昇を続けています。不動産情報センター(REIC)によれば、2025年第2四半期の新築住宅価格指数(バンコク首都圏)は132.4で、前年同期比0.6%、前期比0.4%の上昇でした。

ただし、この上昇幅は鈍化しており、その原因は売れ残り住宅の増加にあると見られています。これを受けて、デベロッパー各社は在庫処分を急ぎつつも、価格の大幅な引き下げは避け、プロモーション戦略にシフトしています。

→新築コンドミニアムの価格は緩やかですがまだ上昇しており、そのため新築コンドミニアムの購入は投資目的であればお勧めしておりません。

デベロッパーは「値下げ」より「特典」に注力

現在、多くの大手不動産会社は、値下げよりも無料ギフトや特別キャンペーンなどのプロモーション施策を強化しています。これは、**消費者の購買力の低下を見越した“実質的な負担軽減”**を狙ったものです。

今後の市場では、こうしたプロモーション競争が売れ行きを左右することになりそうです。

→個人的にはこのギフトやキャンペーンに惹かれるようなことはなく「iPhoneプレゼントや景品」といったようなものは必要な物ではないことがほとんの為、大きく価格を下げることが出来ないデベロッパーの苦肉の策だと思います。

タイ経済、タイ不動産の勢いがかつてより元気が無いのは確かなことだと思いますがタイ、バンコクは世界的に見ても他国に無い活気があり、外国人が住みやすい都市であることは間違いなく、それは今後も変わらないかと思います。タイ人居住地のバンコク一極集中も今後加速していくと思われバンコクの不動産の流動性もいずれは今よりも増えてくることは間違いないと思います。

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