遂にバーツ高抑制に対策が始まります。バーツ高と口座規制の関連性

「タイバーツは世界最強通貨」と書かれたニュース記事を見た記憶があるのですが現在タイバーツ高が長らく続いております。

このタイバーツ高により輸出やタイの主要産業である観光に影響を及ぼします。

2025年9月には1バーツ=4.6円前後で動いており1バーツ=5円で物価計算をする状況です。

このタイバーツ高に対策が始まりました。

タイ、通貨高で対策チーム 債務問題対応で銀行に協力要請

またこのバーツ高の主な要因は、海外の資金洗浄ネットワークが暗号通貨をタイへ流入させていることと言われおりそれが書かれた記事をご紹介します。

Money-laundering at heart of baht instability

Money-laundering at heart of baht instability

以下、和訳

タイの金融市場における異常の兆候がますます顕著になっており、2025年初頭からバーツは7%上昇しています。タイ中央銀行(BOT)はこの急騰の要因として、「経常収支の黒字」および「オンライン金取引」を挙げています。

しかし、暗号資産の専門家はより深刻な要因を指摘しています。それは、海外での大規模なマネーロンダリング(資金洗浄)活動が、暗号通貨をタイバーツへと換金しているというものです。

その額は、最大で5,000億バーツ相当に上ると推定されており、BOTが規制しようとしている金取引の金額を大きく上回ります。

組織犯罪がタイを「拠点」として利用

ある暗号資産業界の情報筋によれば、バーツ高の主な要因は、海外の資金洗浄ネットワークが暗号通貨をタイへ流入させていることにあるといいます。
換金されたバーツはその後、金・不動産・社債などの資産購入に使用され、市場からの流動性が吸い取られているのです。

情報筋はさらに、今後の取引総額が数兆バーツに達する可能性もあり、すでにおよそ5,000億バーツのマネーロンダリングが行われたと推測しています。
この傾向が放置されれば、バーツはさらに上昇し、タイ経済にさらなる圧力を加えることになると警告しています。

「国際的な犯罪組織の活動は非常に巧妙です。違法に得た暗号資産をタイバーツに換金し、その資金で金や不動産、社債を購入することで、違法資金の洗浄が行われています
—— デジタル資産業界の情報筋より


管理できていない取引ボリュームと規制の空白

専門家によれば、タイ中央銀行(BOT)には、暗号通貨の入出国に関する日次取引データが存在しないことが、重大な問題であるといいます。
国内の関連業者も状況を把握できておらず、国際犯罪シンジケートに悪用され得る抜け穴となっています。

一部の金取引店や買主は、暗号資産ウォレットを使って直接取引を行っていることもあるようです。店舗側はリスクを補うために価格をつり上げて利益を得ており、取引の追跡がさらに困難になっています。


法整備の遅れと今後の動き

最も深刻な問題は、このような取引を規制するための明確な法律がタイに存在していないことです。
この規制の空白を突かれ、犯罪者が暗号通貨をバーツに換金し、他の資産クラスへ資金を移すことが可能になってしまっています。

当局はこの抜け穴をふさぐべく、来年初めにマネーロンダリング防止法の改正案を提出する見込みです。


「グレーマネー」流入、すでに5,000億バーツ超え

BOTのデータによると、タイの国際収支に不自然な異常が見られており、その一例が「統計誤差・遺漏(NEO)」項目の急増です。

  • 2021年:+3,402.9億バーツ

  • 2022年:−25.2億バーツ(マイナス転換)

これが意味するのは、実態不明な資金(いわゆるグレーマネー)がタイ国内に大量に流入しているということです。

2023年には1,804億バーツに回復し、2024年には過去最高となる5,308.6億バーツに急増。これは前年の約3倍にあたります。さらに、2025年の第1四半期だけで809.1億バーツに達しており、このペースが続けば、年間では約3,236.4億バーツに達する見込みです。

理論上、国際収支(Balance of Payments)は、経常収支と資本収支の合計と一致すべきですが、実際にはデータ収集の不完全さや遅延によってズレが生じます。このズレを「**NEO(Net Errors and Omissions/誤差・脱漏)」**として記録します。


「グレービジネス(灰色ビジネス)」が真の原因と指摘

国家経済社会開発評議会(NESDC)会長のスパウット・サイチェア氏は、バーツ高対策として金取引の規制を強めるBOTの方針を「的外れ」と批判しました。

彼は、金の流れはごく一部にすぎず、むしろパンデミック終息後に急増した**説明のつかない資金流入(NEO)**こそ注目すべきだと述べています。

「これは**グレービジネス(不透明・未申告な経済活動)**によるものです。我々はその資金の出所を把握できていません。四半期あたり平均で30億ドル(約1,080億バーツ)規模です。BOTは金取引ではなく、NEOの異常値を追及すべきです」

2015~2017年には説明のつかない資金流出があり、月額約5億ドル(約180億バーツ)の規模で観測されていましたが、それは単なる統計誤差の範囲でした。
しかし近年では、逆に「説明できない資金流入」に転じており、これが異常な速度のバーツ高を引き起こしているといいます。

なお、COVID-19以前(2015~2019年)の間でも、バーツはすでに10%近く上昇していました。


仮想通貨の換金がバーツ高を後押し

タイ商工会議所副会頭であり、タイ未来食品貿易協会会長でもあるヴィジット・リムルーチャ氏は、バーツがここ4年で最も急激に上昇している背景には、以下の要素があると指摘しています。

  • 米ドルの弱含み

  • 世界的な金価格の上昇 → タイの金輸出増 → バーツへの換金需要増加

  • タイ国内の仮想通貨取引の急増

「ビットコインやイーサリアムなどで利益を得た投資家が、バーツに換金して利益確定するケースが増えており、市場でのバーツ需要が上がっています。これが通貨高の一因となっています。」

彼は続けてこう述べました:

「金融市場から得られる情報として、バーツ高はもはやドル安だけが原因ではありません。
新たな2つの要因があります。
1つは金需要の拡大、もう1つは仮想通貨取引の増加です。
どちらも投機によるものであり、我々が問うべきは、実体経済を傷つけることなくこれをどう管理するかという点です。」


NEO = 統計誤差に隠された「灰色資金」の流入

BOTはNEO(誤差・脱漏)を、経常収支+資本収支と国際収支の差額として定義しています。
しかしその規模があまりにも大きく・急速に膨張していることから、単なる統計上のズレではなく、実態のある資金流入があることが示唆されています。

主な要因として以下が挙げられます:

1. 非合法・地下経済の拡大

  • 未申告の物品密輸 → 通関を通らず貿易統計に記録されない

  • 麻薬密輸・違法商品の取引 → 外貨流入はあるが公式統計に現れない

  • マネーロンダリング → 暗号資産を使って未申告で国外送金され、BOTの監視をすり抜けている

2. 非公式な労働収入・送金

  • 非正規労働や規制外サービス業による所得が、銀行を通さない送金で流入し、公式の送金統計に反映されない


NEOの年別推移(過去5年間)

年度 NEO金額(バーツ) コメント
2021年 +3,402.9億 大幅な不明資金流入
2022年 −25.2億 一時的に流出が上回った
2023年 +1,804億 再び流入傾向へ
2024年 +5,308.6億 史上最大規模の異常値
2025年(Q1) +809.1億(年換算:約3,236億) 今後さらに拡大の懸念

🔚 結論:バーツ高の裏に広がる「見えない資金」の影

  • タイバーツ高は、ドル安・輸出好調・金需要に加え、仮想通貨の大量換金グレー・ブラックマネーの流入が複合的に関係している。

  • 特にNEOの異常値は、監視されていない地下資金の存在を示唆しており、金融市場の透明性と安全性への懸念材料。

  • 今後の対策として、マネーロンダリング規制の強化やNEOの定期的な詳細分析が求められます。

以上、和訳分

自国では暗号資産を現金化すると課税されるということで暗号資産家の方たちがタイへ移住するケースが数年前より増えています。

またモバイルバンキングについても外国人だけではなくタイ人にも送金額の規制や凍結といった措置が取られております。これらはマネーロンダリングや詐欺を防ぐためのものと見られます。

タイではデパート、スーパー、至る所に金行があり誰でも手軽に金を購入することが出来ます。
日本で金を買おうとしても専門店に行かなければ買えないのではないでしょうか?タイではそこらかしこで手軽に購入でき金の流動性が高いです。
金保有高でみると日本は世界第8位でタイは世界22位となっておりますが金取引の活発性で言えばタイの方が高いのだと思われます。

この金取引、金輸出もバーツ高に影響しているようです。

現在タイとカンボジアでは停戦合意後も国境を封鎖し物資、人の出入りが制限されておりますがタイからカンボジアへの金輸出は急増しているようです。

【経済】タイからカンボジアへの金輸出急増、タイ経済団体が緊急調査要請

暗号資産を動かすタイ国内の多くは外国人であると思われタイの一般市民へお金が回っていきません。バーツ高で輸出難、観光客が減っていくのは目に見えており観光業、ホテル業は厳しい状況だと思われます。

カンボジア国境の往来再開、バーツ高も落ち着きを見せタイ経済が根幹から元気になってもらいたいです。

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